わたしはあなたにときめいてます

「仕事、どうしたんですか」

「………」

「すっぽかしたんですか」

「………」

「愛十さん、わたしの話聞いてます」

「………」

吉弘さんの家から自分の荷物を取り、駅に向かう道を愛十と歩いているのだが、さっきからわたしが何を聞いても、何も答えてくれないのだ。

一体どうしたの?

「愛十さん」

目を合わそうとするが、合わしてくれない。

「愛十さん」

わたしが愛十の右手を握ろうとすると、振り払われる。

愛十が一人で先に歩いていく。

愛十さん……。

もしかして……。

「怒ってるんですか」

愛十の足が止まる。

「何を怒ってるんですか」

愛十はわたしに向かって歩いてくると、わたしの目の前で立ち止まり

「やっぱりあいつが香澄の事好きだからだよ……!!」

何を……。

「吉弘さんです。それと、前も言いましたよね。吉弘さんには彼女が居ると」

忘れたんですか?

「別れるかもしれないって言ってたじゃないか……!!」

「別れるとしても、わたしのせいじゃないって」

吉弘さんの話を聞いてましたか?

「香澄のせいじゃない……!! 香澄を好きになったあいつ自身のせいだからな……!!」

「吉弘さんです。吉弘さんはわたしの事」

「あいつは香澄に触れただろ……」
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