婚約破棄するつもりでしたが、御曹司と甘い新婚生活が始まりました
隣にいた玲人君も無機質な声で挨拶して、私と共にエレベーターに乗る。

せっかくいい気分で旅行を楽しんでいたのに、いやーな空気が流れて……。

すれ違いざま、拓海さんは私に目を向けて言った。

「お嬢ちゃん、またな」

深い意味はないとは思うのだが、『またな』なんて言われると困ってしまう。

エレベーターの扉が閉まると、玲人君は私をギュッと抱き締めてきた。

「嫌な奴に会っちゃったな」

少しピリピリしている彼に明るく言った。

「女の人連れてたし、もう私を誘うことはないよ」

「さあ……どうかな」

玲人君は表情を曇らせる。

「心配し過ぎ。花火楽しもう!」

エレベーターを降りて部屋に戻ると、テラスに出た。

もうすっかり外は暗くなって無数の星が輝いている。

「わ〜、綺麗!あれ、天の川じゃない?」

空を見上げて指差せば、玲人君は私の隣に来て微笑んだ。
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