婚約破棄するつもりでしたが、御曹司と甘い新婚生活が始まりました
ニコッと笑顔を作って言えば、彼はいつものように私に注意する。

「迷子にならないでよ」

「ならないよ」

笑って否定すると、大きなビニール袋に洗濯物を詰めて、ひとつ下の階にあるコインランドリーに向かった。

中に入ると、他の客はいなかった。

空いてる洗濯機に洗濯物を入れ、運転ボタンを押す。

一時間近くかかるし、夕食前に乾燥機に入れ替えれば大丈夫か。

それから、売店に寄ってスナック菓子を買い、部屋に戻ろうとエレベーターに乗ったら、閉まる扉をこじ開けるように拓海さんが飛び込んできた。

げ!

私と彼のふたりを乗せてエレベーターは動き出す。

うわぁ、選りに選って玲人君がいない時に拓海さんに出くわすなんて最悪だ。

ひとりでいるのが心細く感じ、壁際に寄った。

エレベーターはガラス張りで外の景色も綺麗に見えるが、今はそれを楽しむ余裕はない。
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