婚約破棄するつもりでしたが、御曹司と甘い新婚生活が始まりました

拓海さんは観念したのか、か細い声で玲人君の質問に答えた。

「よくもそんな真っ赤な嘘を。着服してるのはお前だろ？お前のことはおじさんにも協力してもらっていろいろ調べたよ。イギリスでも散財して好き勝手やっていたようだな。会社の金使って」

呆れ顔で言って玲人君は拓海さんの顎を掴んでいる手に力を込めた。

「い……痛」

拓海さんは苦痛で呻く。

「瑠璃を騙して愛人にしようなんて、相当な悪党だね。さあて、どうしようか？また悪さされても困るし、お前の臓器売ってみんなの役に立ってもらおうか？」

玲人君は面白そうに言って口の端を上げると、拓海さんの顎から手を離した。

そんな非情な発言をする彼を見て私は驚いた。

「……じょ、冗談だよな？」

拓海さんは、玲人君の言葉に顔を青くする。

そんな彼に追い討ちをかけるように、小鳥遊さんはダークな笑みを浮かべて言った。