婚約破棄するつもりでしたが、御曹司と甘い新婚生活が始まりました
「ええ〜!それはないですよ。ここに入るのすごく反対されたんですから」

「そうなの?でも、秘書室に来ると、副社長、真っ先に栗田さんの姿探すわよ」

「それは……私が何か失敗していないか心配なんですよ」

自虐的に言えば、前田さんは私の口調を真似た。

「それは、栗田さんが好きだから心配するんですよ」

前田さんの言葉に胸がチクンと痛む。

好きだからでは決してない。

全て婚約者としての義務と責任からだ。

「もう前田さん、からかわないで下さいよ」

「ごめんなさい。でも、うらやましいな。私も心配されてみたい」

前田さんは、ハーッと溜め息をつく。

「え?」

前田さん、ひょっとして玲人君のこと好きなの?

首を傾げて聞き直したが、前田さんは小さく頭を振った。

「ううん。何でもない。そう言えば、今日の栗田さんの歓迎会、副社長が遅れるけど出席するって言ってたわよ」
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