女の賞味期限
私は、トントンとドアを叩いた。

「長岡さん。柏崎です。」

名乗ったが、シーンと静まり返っている。

思い切ってドアに手をかけると、カチャッとドアが開いた。


ええっ!?

どうして?

鍵、掛けてないの!?

これじゃあ、誰でも入って下さいと、言わんばかりじゃん!

と言っても、ここに住んでるなんて、普通は思わないか。


そーっとドアを開け、中を覗くと、カーテンが閉まっていて、真っ暗なままだ。

これって、このまま入っていいのかしら。

「長岡さーん。」

とりあえず、声を掛けてみたけれど、返事はない。

本当にいるのかな。

昨日みたいに、どこか遊びに行ってたりして。

でもそうだとしたら、あの女性店員さん、『どうぞ。』なんて言うかな。

それとも、私がここに来る事を聞いていて、ここで待っていろと?

謎が謎を呼ぶ。

こんな事は初めてだ。

でもよく考えてみたら、鍵が開いている時点で、入ってもいいって事だよね。

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