女の賞味期限
「それで得られる重厚感は、食事1回分に相当する。」

大成君は、腕を組んで胸を張った。

「どうしても?」

「どうしても。」

なぜそんなに、奢って欲しいのか、疑問に思う。

お金に困っているとか?

いやいや、私だって日々節約しながら暮らしてる。

でも、いろいろ助けて貰ったもん。

一回ぐらい奢らなきゃ、逆に罰が当たる?


「……分かった。」

「やった!」

大成君は、両手を挙げて喜んだ。

「但し、1回だけね。」

「ちぇっ!」

舌打ちした大成君を、可愛いと思ったのは、母性本能からなのか。

10歳も年下の男の子を可愛いと思うなんて。

私も、歳を取った?


とにかく、私は大成君から、チラシを受け取った。

そこには、携帯の番号が書かれていた。

「電話して。」

顔を上げると、大成君の笑顔があった。

「うん。」

それしか、言えなかった。


女、35歳。

これを逃したら、後はない。
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