後輩♂になつかれました。

あの日、先輩が変な男に絡まれてた。
「俺の彼女になにか用ですか?」
咄嗟に出た嘘だったけれど、俺はずっと先輩が好きだったし、そうなれたらいいなって思ってた。
繁華街を抜けた頃、先輩がぽろぽろ泣き出したのに気がついた。
いつも明るい先輩が、こんなに泣くとは思ってなくて…
俺が守りたいと思った。

先輩の家で、先輩が落ち着くまでずっと抱き締めてた。
なんとか慰めたくて、咄嗟にキスをしてしまった。
先輩はびっくりしたようにきょとんとしたけれど、そのあと嬉しそうに笑ったんだ。だから、受け入れてくれたと思った。
そのまま、止まることも止めることもできなくて……

「先輩。好きです。」
「うん。」
先輩が微笑むから……
俺は思いが通じたんだと思ってた。

だからといって、急にがっついたり、恋人っぽく振る舞うのは恥ずかしい気がして、今まで通りに振る舞ってた。

それなのに。

ずっと俺の勘違いだったなんて。

猛流side fin
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