泡沫の夜
「華は、俺の彼女に対してすごく失礼なことをしてるんだぞ。そんな奴、いくら従姉妹でも許せない」
「理央く……」
「羽奏は口出すなよ?」
優しく諭されて口籠る。確かに人の親戚のことに口出すのは間違ってる。
「華、羽奏に失礼な態度をとったこと謝るんだ。彼女はいずれ身内になる人間だから……」
「は?」
「え?」
理央くんの言葉に、華さんだけじゃなくて、私まで間抜けな声が漏れた。
今のって、どういう意味?
「華、」
有無を言わせない理央の強い口調に、華さんは絶句、私は混乱して言葉も出なかった。
「……ごめん、なさい」
諦めたように華さんが私に向かって頭を下げた。
私も我に返って「ううん、いい、よ」と答えた。
答えたけど、未ださっきの理央くんの言葉が頭の中でぐるぐる回ってる。
「華、俺らこれからデートだから邪魔するなよ。ここから帰れるだろ」
最後まで優しさを見せてくれない従兄弟に対して、彼女は失望した様子で項垂れている。
私は、彼女が従姉妹だと聞いてホッとして、そして彼女がほんの少し可哀想だと思える余裕ができた。
なんだか嫌な女だ、私。
でも、私だって理央くんとのデート楽しみにしてたし、正直いくら従姉妹でも邪魔はして欲しくない。