泡沫の夜


「兄貴に迎えにきてもらうか?」


理央くんが小さく溜息を吐く。


「……うん、」


「呼んでやるから。あいつが来るまではここで一緒に待ってやる」


「……うん」


さっきとは違う理央くんの優しい口調に華さんも嬉しそうに笑顔を見せた。

あれだけ厳しいことを言っていたけれど、結局は可愛い従姉妹だもんね。


「羽奏、ごめんな。もう少し付き合って。こいつの兄貴呼ぶから」


スマホを持ってファミレスの外へ出て行く理央くんの背中を見送った。


「……あの、」


不意に聞こえてきた細い声に驚いて華さんを見る。


「理央、怒るとすごく怖いの。この前怒らせたときは3日口聞いてくれなかったの。理央のこと好きだし、嫌われたくないから、あなたのことキライだけど、これからはおばさんなんて言わない。……あなたのことは前に理央くんから聞いてた。いつだったか街で見かけた時、好きな子だって聞かされて……すごく悔しかった。理央が片想いしてる相手があなたみたいな地味な人なんて信じられなくて……だけどあなたは理央が好きになった人なんだよね……」

「……理央くんも、華さんのこと大好きなんだね。でも、私は前にあなたのこと見かけたときは、理央くんの彼女かと思ったよ。華さん、大人っぽく見えるから……」

「老けてるって言いたいの?言っておくけど、私16だから」

「えっ⁉︎高校生なの?」


そりゃ、高校生から見たら私なんておばさんだよ。

なんで今頃の高校生ってこうもレベル高いの?

幼い態度も口調も高校生だと言われれば納得できる。

自分とはかけ離れた今時の高校生のレベルの高さに、軽く目眩がしてしまった。



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