その音が消える前に、君へ。
何が起こったんだと頭で考えると、起こったことを理解してしまうと全身が熱くなった。
鏡を見なくとも顔が赤くなっていることが分かる、それくらい体温が上がっていた。
そんな私の反応を見て、どこか勝ち誇ったかのように笑ってもう一度顔を近づけてきた。
「紗雪、好きだよ」
耳元でそっと囁かれたその言葉に、何か言わなければと言葉を選ぼうとしていると、再び口がそっと優しい温もりに塞がれた。
大人びた絢斗くんがかっこよくて、ドキドキする上にこんな初めての経験をこんな唐突にするなんて、心の準備が揃わなすぎて上手く動けない。
離れていくその感覚に、絢斗くんを見つめると嬉しそうに笑う。
私も約束したことを、言葉を言わなきゃ。
「あ、絢斗くん……私も絢斗くんが……好き、です……」
「それが紗雪の約束の話?」
「うん……絢斗くんをちゃんと知ってから、この気持ちが何かを分かったら、伝えようって……」
「アメリカ行く前に聞きたかった。そしたらその時、キスできたのに」
爆弾発言をされて、再び顔が熱くなる。
そんな私の反応が面白いのか、楽しそうに笑いだした。
そして私も釣られるように笑う。