その音が消える前に、君へ。


人のいないこの駅でも、二人が揃えば賑やかになる。


私達の出会いは、偶然なのか必然なのか。


でも後悔しない為に選んだ道は、ちゃんとここに繋がっていた。


それだけでいい、この人と一緒にいられるのなら私はそれで。



「紗雪、俺と付き合ってくれますか?」



ぎゅっと手を握りしめて来て、絢斗くんが私を見つめて聞いた。


私はもちろんと頷き、自ら絢斗くんの首に抱きついた。


慌てて受け止める絢斗くんの手が、私を心を包む。


裏切りを犯した私達は、静かなこの場所で愛を掴んだ。


それは誰にも壊すことのできない、強くて頑丈な愛。


この先何かあっても、私は後悔しないように道を選んで前へと進む。


その隣には君がいて、手を取り合って前へと進むんだ。




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