その音が消える前に、君へ。
課題の案としては昆虫採集やら、風を利用した風力発電のミニモデルなどと高校生がやるにしては少しマニアックな課題の案しか上がらず、女子達の反応は悪い。
ここは少しこちらにも配慮した提案が欲しいものだが、女子からの意見は特にこれと言ってない。
言われるがままの意見に従うのも一つの方法ではあるが、私としてもしっくりくる案がない限り首を縦に降ることはできない。
なんて面倒な事を先生は考えたのだろうかと、心の中で今度はため息をついた。
険悪な空気が流れるのも時間な問題だと少し構えていると、あの……と榊くんが空気を震わせた。
「……天体観測とかどう?遮るものないから夜空しっかり見えるし、研究もしやすいんじゃないかな」
その意見にグループメンバーは一瞬固まるが、一気に賛成の声が上がる。
「いいじゃん!確か望遠鏡持ってきてる先生いなかった?」
「ああ!清水先生が確か持ってきてたはずだ」
あれやこれやと自分の持ってる知識や記憶を出し合い、話し合いは一気に加速していく。
重たくなり始めていた空気が軽くなり、その後の日程決めはあっという間に終わり解散という形になった。