花に美少年
「なんで私だけ、こんな目に合わないといけないのよ」
「めいちゃん」
「もう、本当に最悪」
「聞いて、めいちゃん」
「・・・え、」
その声がさっきよりも大きく聞こえたから、視線を足元に向けると、布団で丸まる私の足元に、少し目尻の下がった瞳を見つけた。
「眠れないなら一緒に寝ようか?」
「な、なに、言ってるの?」
「だって泣いてるから」
「は?」
「一人で寝るの、寂しいかなって」
お得意の甘い笑みを浮かべた湊結児が、驚く私を無視してロフトに上がってくる。
「私、そういうつもりで話したわけじゃ」
「うん。でも、泣いてるから」
「それはその、ちょっと思い出して感傷的になったと言うか、えっと、」
「別に理由とかどうでもいいよ」
「え?」
「聞かなかったのは、どうでも良かったから」
狭いロフトの上で、距離が縮まるのは一瞬だった。
驚きのあまり、布団の中から抜け出せずにいる私の枕元に座り込んだ男が、さっきまでよりも真剣な眼差しで私を見下ろした。