消える世界で、僕は何度でも君に会いにいく。



目を閉じれば思い出す。


想いを伝えてしまったあの時。


翳りが差した彼女の表情は、一体何を表すものだったんだろうか。



断るのが忍びないという、優しさからか。


知り合って間もない相手への、警戒からか。


告白という行為への、嫌悪からか。



……どれも、違う気がした。




友達だと言って聞かせた後の、安心しきった顔はあまりに正直で。


絶対に、意図したものではないと分かった。




恋人はダメ、友達ならいい。


心を許されているのか、いないのか。


すごく曖昧で、理解しがたい。



けど、確かに分かることは一つ。



「……っ…」


視界がぼやける。


涙が溢れた。


ああ、かっこ悪いな。




あの時、誤魔化さなくても結果的には同じ。


確実に振られていただろう。


けれど、違う。


そこじゃないんだ。


< 32 / 139 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop