消える世界で、僕は何度でも君に会いにいく。



ぎゅっと心臓を鷲掴みにされたような感覚。



それは、例えるなら……そう、黒曜石だ。


窓から入り込む日差しにも負けず、色を失わない、はっきりとした色味の黒。



綺麗な瞳だな、という感想が真っ先に浮かんだ。


と、直後に湧き上がる緊張感。



体が固まる。


気を張るのに必死になって、にわかに汗がにじんだ。



目が合うだけでこうなるものなのか。


ここまで情けないとは思わなかった。



突然の事態に焦る僕の心境を知る由もない彼女は、ふいっと顔をそらして窓の外に目を向けた。


どうやら、僕が見すぎて不審感を覚えたとか、そういうわけではなく。


特に意味はない行動だったらしい。


ただ、なんとなく顔を上げたら目が合ったと、そういう感じだったんだろう。


< 5 / 139 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop