消える世界で、僕は何度でも君に会いにいく。
ぎゅっと心臓を鷲掴みにされたような感覚。
それは、例えるなら……そう、黒曜石だ。
窓から入り込む日差しにも負けず、色を失わない、はっきりとした色味の黒。
綺麗な瞳だな、という感想が真っ先に浮かんだ。
と、直後に湧き上がる緊張感。
体が固まる。
気を張るのに必死になって、にわかに汗がにじんだ。
目が合うだけでこうなるものなのか。
ここまで情けないとは思わなかった。
突然の事態に焦る僕の心境を知る由もない彼女は、ふいっと顔をそらして窓の外に目を向けた。
どうやら、僕が見すぎて不審感を覚えたとか、そういうわけではなく。
特に意味はない行動だったらしい。
ただ、なんとなく顔を上げたら目が合ったと、そういう感じだったんだろう。