消える世界で、僕は何度でも君に会いにいく。



答える価値もないと思った。



せせら笑うその醜く歪んだ顔を数秒眺めて、息をつく。


無視することもできたけど、納得しない限りどこまでも追いかけてくる気がした。


1秒でも早くこの場を去りたい一心で、答えざるを得なかった。



「ご忠告どうも」


努めて冷静に返す僕に、不満を募らせたようにまた食ってかかる。


「親切に言ってやってんだからさ、聞き入れたほうがいいんじゃないの」



さっきよりも甲高くなった声。


ああ、頭が痛いな。


終いには、同調するように他の女子たちも群がってきた。



嫌な態度がいちいち逆鱗に触れてくる。


彼女らは僕の怒りを誘発したいんだろうか。


もしそうなら、きっとその思惑は成功だ。



さっきまで何も感じていなかったというのに。


今は抑えることも難しい、体の底から沸々と湧き上がってくる感情。


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