初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
「せ、タケシさ」
先輩と言いそうになって、さすがにそれはないだろうと留まって名前を呼ぶ。
一斉に向けられた視線に耐えきれず、そのまま靴を履いた。
色々気まずい。
早くここから出たい。
振り返って「じゃ、いってくるから」と言って先輩を促す。
「いってらっしゃーい」って後ろから聞こえる声は心なしか浮かれているものに聞こえた。
ドアを閉めて先輩と並ぶとやっとほっとする。思ったよりも元気そうでよかった。
「早かったですね?」
「まぁね」
「うちの妹、先輩になんか失礼な事言いませんでした?」
思いっきり家の前に横付けされた車は明らかに私を迎えに来たものとわかって。それを見つけて妹は素早く話しかけたんだろう。
先輩は中学では結構有名人だったけど、妹は二つ下だから知らないはず。だけどなんとなく中学の先輩と今更付き合ってるとか知られるのもけっこう恥かしい。
とはいえ、帰ってきたら質問攻めされるのは目に見えてるけど。
「いや、別に?でも何で妹さんが迎えに出てきたんだ?」
「あーごめんなさい。通知見たのリビングだったので」
「なんかタイミング悪かったかな」
「いえ、」
むしろ良かったのかもしれない。