初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
コンビニで飲み物を買うとそのまま車に戻った。
先輩は運転席でカチッと音をたてて缶コーヒーをあけて一口飲むとふーっと息を吐いた。

「なんか、久しぶりにホッとしたな」

「……忙しいままこっちに戻りましたもんね先輩」

「ん、でもバーちゃんっ子だったからな、俺」

ここで初めて亡くなったのがお婆様だという事を知る。
親族とは言ったけど、誰がとは言わなかった。

「…お婆ちゃん子だったんですね?先輩って」

「あぁ、うん。そう、だな。」

先輩は前を向いたままゆっくり目を瞑った。
こういう時ってなんて言葉をかけてあげたらいいんだろう。ご愁傷さまですなんて言葉はもう聞きあきてるだろう。

「おいくつだったんですか?」

「80だから、まぁ長生きな方だとは思うけど」

「そう、ですか」

「入院してたし、わかってはいたんだけどな。でも、」

そう言って手に持っていたコーヒーを一口飲む。そしてまた言葉を続ける。

「タケシの嫁にうちの味教えるんっだって言ってたから、叶えてあげられなかった事が悔やまれるな……」

見た事もない先輩のお婆様の顔が一瞬浮かんできた。きっと先輩にそっくりの顔で笑うんじゃないかって。
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