初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
「クルミ、ごめんな?」
さっきまではまっすぐ前を向いていた先輩が体ごとこちらを向いて私に話しかける。
「先輩が謝る事なんて何もないですよ」
そうとしか言えない。
会いたかったけど、さすがにこればっかりは仕方がない。
それに、先輩の大切な人が亡くなったんだからそれどころじゃない。
「とりあえず、ちょっと移動するわ」
「はい」
私がシートベルトをしめたのを確認すると、ゆっくりと車が発進した。
男の人が車を運転するのを見るのが好き。車の運転って性格がすごく出ると思うから。
都内に住んでるとあまり必要のないものだから見るチャンスがないけど、こっちだと必須アイテムだったりする。
どうやら先輩は、慎重派らしい。
この辺のデートコースなんて数えるぐらいしかない。この道だときっと……
「車から出なきゃ、山の上も寒くないよな?」
「はい」
思った通りの場所。この街は海も山も近くて、山の上にある遊園地の駐車場からの展望はなかなか。寒くても暑くても関係なく結構人気のスポットらしい。
こっちに住んでる時はそういうのにも憧れてた。今では都会の夜景も見慣れてるけど案外よかったりして。