初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
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部屋の前について先輩が鍵を開けようとしていると、コツコツと足音が聞こえてきた。
どうやら同じ階の人が帰って来たらしい。会社のっていってたから先輩も知っている人かもしれない。そんな事を考えながらその音のした方を見た。
「お、そとやん、おかえり」
人懐っこそうな顔で先輩に話しかけてきた。その後ろから彼に会釈をした。
すると、一瞬目を大きく開けてニヤリとした。
強い視線を感じて、なんだか居たたまれない。
この時間に大きな荷物を持って隣人の部屋に入ろうとしている女。いかにもこれからお泊まりですと言わんばかり。
なにか言われるのかと思いきや、スッと目線をはずして先輩をみている。
「バーちゃんとお別れできた?」
「あぁ、まるで待ってたみたいだったよ」
「そうか、」
「香典、ありがとうな」
ただの隣人さんではないらしいそのやり取りに、小さくなってそれを見ていた。
「……例の彼女?」
今度は私の方を見てその彼は言うから、ここで挨拶しておかないとと先輩の後ろから体を出した。
「胡桃澤(クルミザワ)です。」
「あー俺は、や…――
「また今度ゆっくりな、じゃあな」
彼の自己紹介を遮って私を家の中に押し込めた。
えっと、どこの誰さんだったんでしょうか?
パタンと閉まる玄関の扉。
それと同時に暗闇と静寂が訪れた。