初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
それを見ていたら、

「……好き、」

いつのまにかそんな言葉を言っていた。

大切にしたい。
この手を離しちゃいけない。

その想いが私の中でそれを言わせたのかもしれない。

「ちょ、クルミ、だからそう言うのヤメテ」

先輩に初めて言ったその言葉に一番驚いたのは先輩で。

「え?」

「ヤバイ、幸せすぎてどうにかなりそう」

先輩はそう言って、その体勢のまま強く抱きしめてくる。

「私も、……すごく幸せです」

「クルミをずっと感じていたいけど、そうもいかないみたい」

いたずらっ子みたいに笑って、チュッとキスを落とすと、「ごめんね、クルミ」そう言ってから私を再び味わい始めた。





子供っぽい顔で笑ったかと思うと、射抜くように見られた視線にドキドキさせられる。

そして切なく呟くその言葉に母性本能をくすぐられる。

いくつも見せられる先輩のその表情に確かに惹かれている自分がいる。

なによりも、その笑顔を崩したくない。
その手を離しちゃいけないと何処かで誰かが囁く。

「ずっとこうしてたい」

「……それは、色々と無理が……」

「クルミはすぐそういう現実的な事を言うよな」

いや、だって。このままってわけにはいかないでしょ?
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