初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
「私ね、人に言えない恋愛してた時。私さえ我慢すれば幸せは守れるって思ってた、だけど今ならそれは違うって言える。どちらかが我慢だなんて続くわけない。だからと言って私はあの頃と根本は何も変わってない」
そうかな?随分と柔らかい印象になったように感じるけど。もしもノリちゃんが意識していないんだとしたら、今の幸せがそれを変えたって事?
「ほんとに変わろうと思ったりしてない?」
「んーもし私が変わったって言うんなら、そうしたい自分がいるから。仕方なく相手に合わせるわけじゃないし、意見が違って喧嘩だっていっぱいするよ?」
先日の喧嘩がすぐに思い当って、納得してしまう。
「その度に私がドキドキするから」
笑いながらそう言うと、ノリちゃんは少し神妙な顔つきで「ごめんね」と小さく肩を竦めて言う。
「でも本音であたってるんだなぁってちょっとうらやましくなった」
そう、先輩との最後の日。やっと本音言ったねって言われたんだった。
上手くやろうとするあまり本音が言えなかったり、相手に合わせ過ぎたり。そんなの逆にうまくいくはずなんてなかったんだ。
「うん、だからね。クルミもクルミのままでいられる人にきっと出会えるから」
私が私でいられる。そんな人に本当に出会えるんだろうか?しかもその人と奇跡的に付き合う事が出来たとしたらそれこそ運命なんじゃないだろうか。
「そうだね、そんな日が来るといいね」
そんな日が来る事を願わずにはいられない。