初恋のカケラ【3/13おまけ更新】

     *****

「それで?その人とは花見の時にも会ってて、その上近所に住んでた?!」

「ちょ、ノリちゃん。声大きっ」

興奮気味で立ち上がりそうな勢いのノリちゃんをなんとかなだめようとするけど。

「これが落ち着いていられるかっての!」

言葉づかいまでもが乱暴になってる。

半個室の席にしておいてよかったなんて思いながらも、ノリちゃんのグラスを持ち「ハイ、とりあえずこれ飲んで」とそれを飲むように言う。ノリちゃんはグラスをバッと奪い取って一気に飲み干すと、

「そんなね、嘘みたいな出会いなんてそうそうないんだから」

そのグラスをダンっとテーブルに置くと近くにあるボタンを押し、すぐに来てくれた店員さんにおかわりをオーダーした。
嘘みたいな出会い。って言うけど、

「たまたま愛羅ちゃんの彼の知り合いが近所に住んでたってだけだしょ」

「たまたまがそれだけ続けば十分じゃないの?」

十分なのかどうかは別として。

「いや、だからね。ご飯食べただけだよ」

「その後お酒も飲みに行ったんでしょ?」

「まぁそうだけど……」

だからってただそれだけだ。

「クルミがそういう気分になったってことが進歩だからなんでもいいけどさ。」

進歩?なのか?
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