初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
「ふふ、それじゃ私。帰るね」
幸せな奥様のオーラをまき散らしながら去っていくユキ。だけど前ほど卑屈に思わなくなったのは……。
「クルミちゃんの友達はあういうタイプが多いね」
物おじせずに突っ込んでくるって事だろうか。
「まぁ……そうかも」
「でも、クルミちゃんにはあのぐらいがちょうどいいのかもな」
「え?」
「ま、俺もあういうタイプのうちの一人だけどな」
そう言ってニカって笑った相良さんにドキリとしたのを打ち消すように、
「あはは、そうかも」
最初から相良さんは壁など作らずに接してくれた。だから私も昔からの同級生か友達みたいに感じていて。
「そろそろ俺らも出るか」
周りを見渡せばほとんど人はいなくなっていて、あんなにあった列も残り数名。
私たちもノリちゃんたちの待つ出口に向かう。
相良さんはお祝いの言葉を二人に言うと、おもむろに胸元から封筒を取り出した。そしてそれを木村に差し出した。
「お祝い考えたんだけど、モノだと持ち帰るの大変だしなと思って」
「うわー、相良さんからお祝い頂けるなんて」
そう言ってノリちゃんが横からそれを受け取り、キラキラ顔であけていいか聞く。
あけてみたノリちゃんは木村と顔を見合わせて
「「あー!」」
と二人声を揃えてそれを指差した。
私もそれを覗き込むとそこには遊園地の一年間有効のチケット。