初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
待ち合わせた場所に行くと、すでに二人は到着済み。時間通りと思ったのに、

「ごめんなさい、待ちましたか?」

「や、平気。出先からそのまま来たから時間持て余してただけ」

「俺はさすがに遅れるわけには……」

申し訳なさそうに言う坂下くん。別にそこまで気にしなくてもいいのに。

二人でしばらく話をしてたのか、なんだか和やかな感じで。
もしかして先輩が電話くれた時ってすでに渋谷に着いてたとか?


たった一本の電話で出来た先輩との秘密。
秘密というか、ただのやり取りなのか?
まるでさっきの事がまったくなかったかのように先輩は普通で。あまりに何の反応もなくて拍子抜けって言うか。
少なからずとも緊張気味だった私が馬鹿みたいに思えた。

「坂下。とりあえずさ、飲み行かね?」

「あ、はい。すみません。今日は案内します」

先輩に促されて移動し始める。
坂下くんが先頭にたって歩くものだから、当然……

「よ、クルミ」

先輩と並んで歩く事に。

なんだろ、これ。やっぱり緊張してるみたい。
今までこんな事なかったのに。
まさか、ね。

「先輩、今日仕事早く終わったんですか?」

「社に戻ったらこの時間に来れないと思ったから」

「そう、だったんですね」

だから電話してきた?
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