初恋のカケラ【3/13おまけ更新】

「とりあえずランチって言ってたけど、近所でブランチでいい?」

「あぁ、うん。大丈夫」

すでにお母様と会うと言われて頭の中ではコーディネート大会。
あぁノリちゃんの気持ち。今なら良くわかる。あの時もちょっとわかると思ったけど、きっと本当にわかったのって今かもしれない。

「名残惜しいけど、帰んねーとな」

さらりと髪を撫でられて、目を細めた相良さん。私だって名残惜しいけど、

「ふふ、そうだね。お母様待ってるよ?」

「あーそれはない。たぶん30秒で寝てる」

「なにそれ。」

「いや、まじで。あの人布団入って30秒で寝れんの」

「ちょっとうらやましいかも」

「ある意味すごいよ、どこでも寝れるからな」

まさかここでこんな噂話されてるなんて思ってないだろう。
ほんと名残惜しい。相良さんの温もりを感じたまま眠りにつきたい。だけど、明日がお母様と初対面。やっぱりコンディション良く、さらに印象良く見せたいなんて。

「私も明日に備えて寝ないと」

チラリと時計を見れば、相良さんがきてからすでに一時間近く経ってる。

「はは、そこまでしなくても」

「相良さんも帰って来たばかりで疲れたでしょう?」

「ん?俺?俺は…――」

私の頭を抱えるようにした相良さんは髪に口付けて、

「これで癒されるからへーき」

だからっ、どうしてそんな甘い事さらっと言うの?
なんかやっぱりキャラ違う。だけど、私だけに見せてくれる相良さんが嬉しくて私たちはしばらくそのまま抱きしめあっていた。
< 637 / 820 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop