初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
「そうだ、クルミちゃん。これ、泊まるとこ」
閉じてあったノートパソコンを開いて見せる相良さん。調べ物一つするにもスマホがあるというのに、いつもこれを使ってる。たしかにこういう時は大きな画面の方がいいけれど。
「わぁ、素敵ねー」
目の前のスライドショーに見惚れてそう声を漏らすと
「ん。そんなとこあんの全然知らなくてさ」
「え?」
探してくれたのかと思っていたらそうではないらしい。ということは?
「リョクの紹介」
「へー大和さんって。なんかすごいよね」
そうとしか言いようがない。
大和さんて、きれいな顔立ちで性格も悪くない。ちょっと強引なところもあるけどそれも許せる範囲内。それに研究員ていうのもインテリっぽくていいんだと思うけど、いまだ謎が多い。
「クルミちゃん……もしかしてリョクの事気になる?」
へ?気になるって何?画面から目を離し振り返ると、への字口の相良さん。
あれ?もしかして……
「だって相良さんのお友達でしょ?」
大和さんはただの興味の範疇から出ない。
「そうだけど。リョクはダメ。勝てる気がしない」
不機嫌そうなままそう答える相良さん。
最初から負けてない、勝負にさえなってない。
だからそっと手を伸ばして「私は、相良さんがいい」相良さんじゃなきゃダメだ。