初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
「潤季ー」
お母様の呼ぶ声が聞こえても相良さんは頬に手を置いたまま。
「……お母様が呼んでる」
そう言ってみても「ん」って言うだけで
「……行かないと」
見上げて言うと、小さくため息を吐いた相良さんは「夕飯前になんて言わなきゃよかったな」と拗ねたように言った。
「ふふ、なかなか来れないんだからそんな事言わないの」
「……ったよ、」
でも「相良さん」そう呼びかけて、頬に添えられる手を掴んではずし、背伸びして相良さんに軽く口付けた。そして驚いた顔の相良さんをそのままにしてドアを開けた。
「ほら、行きますよ」
私がそう言うとやっと我に返ったのか「やられたな」と小さく呟いた。
「今行くー」
大きな声で返事をしてから私の耳元で、
「仕掛けたのはクルミちゃんだから、覚悟しといて」
そう言ってから私の手を取って部屋から出た。
「……うん」
今日も明日も、まだ相良さんと一緒にいられる。
覚悟もなにも、そんな嬉しい事はないのだから。そう思いながら相良さんに繋がれた手をそっと握りなおした。