初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
「んー、あれだな。こうしてくっついてるのも魅力的だけど」
「あ、ごめん」
慌てて距離を取ると「はは、そんなに離れなくても」と苦笑いを浮かべて相良さんはその場を離れワインを持って戻ってきた。
「あ、グラスは……」
ワイングラスなんてもちろんない。だけど備え付けのグラスを見つけた相良さんはそれを一つ私に渡した。
いつものように器用にオープナーであけて控えめに私のグラスに注ぐ。そして自分のグラスに普通に注ぐと「とりあえず乾杯」と言ってそれを私が手を添えたグラスに軽く当て一気に喉に流しこんだ。
いつもは味わうようにして少しずつ飲むのに。その行動に私は驚き、自分のワインも飲まずにあっけにとられてその様子を見ていた。
ハァー
相良さんは大きなため息をひとつ吐いた後、まっすぐと私を見つめる。
「さっきの質問の答え」
「え?」
部屋の前で止められた質問。だけどまだ聞いてないのに。
「……ご両親に承諾をとったのは結婚の事。」
「……」
「さっきから言い訳一杯言ったけど、あーなんつうか。照れるな」
いや、なんていうか、そこで話を終わらせないで欲しい。