一つだけ願いが叶うなら
約束の時間にはギリギリ間に合った。多分今までで1番自転車をがんばって漕いだと思う。
「ギリギリセーフだな(笑)」
「ごめん寝坊しちゃって・・・」
「朝ごはん食べてないなら買ってから行こうか」
「・・・うん!ありがとう!」
なに?歩は超能力者なの?紳士すぎて泣ける・・・
歩とは、高校卒業を機に付き合い始めた。今、私たちは大学2年生。だから、1年ちょっと付き合ってる。
ゴールデンウィークは2人とも暇だったから、水族館行こう!ってなって、今に至る訳ですが・・・
「めちゃくちゃ並んでる・・・」
そう。大型連休って家族連れ多いよね。ちびっこがきゃっきゃきゃっきゃはしゃいでいる。
それにしても人多すぎでしょ・・・
「おーい、遥ー??」
「え?あ、ごめん!聞いてなかった!」
「も〜、人が多すぎるからってへこむなって〜」
「いや、へこんでないからね!?」
確かに人混みは少し苦手だけど、みんな休みだからしょうがないし。
「まぁ、元気だせって!」
「うん・・・」
あのハガキのことで悩んでるなんて言えない!!
こうして悶々と悩んでると、歩から爆弾を投下された。
「なぁ、和樹の家から法事のハガキ届いた?」
「えっ・・・」
何気ない会話のつもりだったのだろう。だからこれがもっと私の心を締めつけるなんて歩は思ってもいない。
「届いたけどどうかした?」
動揺を悟られないようにできるだけ冷静に返す。
「いや、別に・・・」
「わー!あいたよー!!」
急に子供たちの声が大きくなった。これはチャンス。
「あ、開いたみたい!行こう!!」
「そうだな」
よし。話を終わらせよう作戦成功!今日はハガキなんて忘れてめちゃくちゃ楽しむぞ〜!
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