この暴君、恋すると手に負えません
すると暴君の手は、気づいたら私のシャツのボタンに触れて、第一ボタン、第二ボタンと器用に片手で外していくのが見えると、私は観念したように目をぎゅっと瞑った。
私は逃れられない恐怖で体が震えてしまう。
ーーその時だった。
暴君は急にシャツを外すのをやめて、私をぎゅっと力強く抱き締めたのだ。目を薄っすら開くと、暴君は私の肩に顔を埋めてくすくす小声で笑っているのが見える。
「......なんてな。これに懲りたら俺から二度と逃げようとか考えんなよ?」
そして鏡越しで私の姿を見た暴君は目を大きく見開いた。すると困ったように小さな息を吐き出し、私の腕を引くと自分の胸板に私の顔を埋めるように抱き寄せたのだ。