この暴君、恋すると手に負えません
「桐生さんは帝さんの事が好きなんですよね?」
私は真っ直ぐに桐生さんを見つめながら問い掛けた。
すると桐生さんは眉間に皺を寄せながら不思議そうに首を捻る。
「……え?」
「だっていつも私が帝さんと一緒にいると睨みつけるじゃないですか。それに、そのピアスも帝さんからの贈り物なんですよね?この前も真夜中のホテルで探してるくらい大切にしてましたし、そうかなって……」
――私は思い出してしまった。
あの時、帝さんだけに向けた彼女のとても可愛い女の笑顔を。
「……帝様の事は主として尊敬しているが、恋愛感情は抱いたことはない」
桐生さんの言葉に私は心の中でそっと安堵の息を洩らした。
「でも光希さんのプロポーズお断りしたんですよね?」
「な、何でお前がそれを知ってるんだ!?」
「この前、光希さんとエレベーターに閉じ込められた時、お話してくれて」
「……あの人は笑顔だけじゃなく口も緩いのかっ」
桐生さんは小声で光希さんの悪口を溢していたが、その様子を見るとあれは誉さんが描いたシナリオではなく本当の話のようだ。