この暴君、恋すると手に負えません
「……神楽坂会長?」
帝さんは二人の姿を見るなり、驚いたように小声でおじいさんの名を呟く。
ーーそうだ、思い出した。
この人は帝さんが指揮するあのアミューズメント施設に携わる会社のひとつ、神楽坂建設会社の会長でもある、神楽坂将鴇(かぐらざかまさとき)だ。
「帝くんもこの前の親睦パーティー以来だね。この前はとても楽しませてもらったよ」
「其方こそお越し頂きありがとうございました。今日はどうされたのですか?」
「おや?誉くんから聞いてないのかい?」
「え?何の事でしょうか?」
誉さんは意味深に口角を吊り上げながら、その様子を見つめている。私の目にはそんな誉さんが、まるでどう化かしてやろうかと企む九尾狐にしか見えなかった。
ーーその時だった。
二人の会話を中断するかのようにまた客人が姿を現したのだった。