この暴君、恋すると手に負えません
「あっ、いけない。私そろそろ会社に戻らなきゃ」
「仕事か?」
「うん、あの自分でイチから立ち上げたジュエリーブランドの会社のね?今は海外のセレブに注目されてて、コラボ企画や来春の新作発表も控えてたりで忙しいの。でもさすがに主役だし私も会食に参加するから、その時にゆっくり話そうね?帝、また夜にね!」
玲奈さんは腕時計で時間を確認すると、慌しい様子で部屋を出て行った。
その様子を見ていた神楽坂会長も目を細めて微笑みながら歩き出す。
「慌しくてすまないね、では私も失礼するよ。また夜にな」
「はい、今夜楽しみにしております。お気をつけて」
帰っていく神楽坂会長を誉さんは深々としたお辞儀をしながら見送る。
そして頭を上げると背中を向けたまま、冷たい口調で誉さんは話しだした。
「……全くお前は本当に自分勝手な奴だな」
「お前に言われたくねぇよ。婚約者(フィアンセ)なんて勝手に決めやがって何考えてやがる?」
「さっきも言っただろう?そろそろお前にもいい縁談話をと思ってしたことだ」
「有難くもない迷惑だな。俺は虹美以外考えていない。もう余計なことをするんじゃねぇ」
誉さんは振り返ると、とても冷たい眼差しで帝さんを睨みつけながらこう呟いた。