この暴君、恋すると手に負えません


すると、一瞬にしてこの場が沈黙に包まれた。
最初に口を開いたのは、呆然としていた神楽坂会長だった。


しかし誉さんは何か策があったのか、薄っすら笑みを浮かべて神楽坂会長の元に歩み寄っていた。


「……誉くん、これはどういう事かね?」
「申し訳ない、神楽坂会長。恐らくこのサプライズの縁談に対抗して帝もサプライズを仕掛けているようです。あまりの迫力のある演技に私もつい、騙されてしまうところでした」
「おや、そうだったのか。あまりの名演技に私は騙されてしまったよ」


玲奈さんも二人の会話を聞くと、さきほどの可愛らしい笑顔を浮かべてこう呟く。


「もー、結局私また騙されちゃったのね?本気の声のトーンで言うからびっくりしちゃったじゃない」
「違う!俺は本当に虹美と……っ「帝、早速だが今夜婚約を祝して会食をすることになっている。遅れたら私が許さないからな?」
「……っ、くそ」


何も言わせないかのような誉さんの鋭い眼差しに、帝さんもただ悔しげに黙り込むしかなかった。何せ、私の体が無意識に震えてしまうほど、その時の誉さんの声に強烈な圧を感じたからだ。



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