この暴君、恋すると手に負えません
「結構です、最低限の荷物を持って家に帰りますので」
「せめて桜庭に家まで車を出させよう。そのくらいはさせてもらえないか?」
私は黙ったまま首を縦に動かした。ふと、隣に棒立ちしている帝さんに視線を向けた。
「……短い間でしたがお世話になりました。玲奈さんとお幸せに」
ーーその時の私は上手く笑えていただろうか。
帝さんはなんともいえないくらい、胸が痛むほど切ない表情を浮かべていた。私は帝さんに向かって会釈をすると、そのまま逃げ出すように部屋を離れていった。