この暴君、恋すると手に負えません
「え!?そんな誉様相手に無理ですよ!!」
「お前もやるんだ、ハチ」
隣に駆け込んでシナリオを目に通しているハチの肩を私がぽんと叩くと、ハチは迷いながらも首を縦に動かした。
「……分かりました。俺もやります!円華さん!」
――今、さり気に名前を呼ばれたような?
「だめ」
「え?」
すると光希様はハチの唇に指を押し当ててにっこり笑った。
「円華って呼んでいいのは僕だけだから」
不覚にも、ただそれだけのことなのに私はどきっとしてしまった。
「虹美だって呼んでますよ!?」
「虹美ちゃんは女の子だからいいの」
「え、それ男女差別ですよ!?」
「だめなものはだめ」
「……あの、早速仲間割れしないでくれませんか?」
私はそんな二人の言い合いに呆れながらも、あまりにも子どもじみた喧嘩に思わず笑ってしまったんだ。
――帝様、ご安心ください。
この朱鳳家の有能な執事らが、何があっても誉様を阻止してみせます。