この暴君、恋すると手に負えません


「……何?」
「虹美さん、今日いつもとリップ違いますよね?あっ、もしかして彼氏さんとデートとか!?」

そう、彼の言う通り今日は普段あまりつけない赤いリップを使っていた。

少しでも自分を綺麗に見せたいなんて、自分らしからぬ乙女心が芽生えたからだ。

だが人に指摘されると恥ずかしいもので、私は視線を逸らしたまま小声で否定する。

「……べ、別にデートじゃないから」
「実際どうなんですかねー?」
「実際彼氏いないし」
「え、そうなんですか?最近、虹美さんによく会いにくるあの人って彼氏さんじゃないんですか?」


どうやら瑛斗の事を言っているらしく、私は苦笑しながら首を左右に振った。


「違うよ。ただの幼馴染だから」
「そうなんですね。いつもと違う色のリップつけてるから何かあるのかと思いました」
「……どうして?」

私が不思議そうに尋ねると、南くんはどこか懐かしむように上を見上げて答えてくれた。


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