この暴君、恋すると手に負えません
「"女はね、赤いリップをつけると不思議と自分に自信が持てるの。だから女にとって赤いリップはとっておきの隠し兵器なの"……って前にある人から聞いてから、そんな意味があるのかなって思って」
「それ、彼女さんの言葉?」
すると南くんは一瞬どこか寂しげな表情を浮かべて、どうなんですかね、と誤魔化しながらいつもの笑みを浮かべた。
私は不意に南くんが自分で用意したラテアートに視線を移すと、そこにはとても可愛らしいクマが描かれている。
「……って南くん普通に上手くない?びっくりした」
「あぁ、ラテアートの事ですか?一回やり出すとハマっちゃって気づいたら上達してました」
「すごいね?私は練習してもできる自信がない」
「まぁ、虹美さんはまずスチーム下手ですからね。泡だらけでお客さんに出せない時もあるし、ラテアートなんて夢のまた夢の話ですよ?」
「うるさいな、言われなくても自覚してるから」
そんな生意気にも挑発してくる南くんだが、憎めないのはこの愛らしい笑顔のせいだろうか。