この暴君、恋すると手に負えません
「何もかも自分の思い通りになると思うなよ!?ふざけたシナリオで周りを巻き込んで、自分の手は汚さずに人を駒のように動かして、どれだけ卑劣で最低なの!?
そんな奴にどんなに邪魔されようが、私はもう帝さんから離れないって決めたんだから!!だから私は、もうあなたのシナリオ通りになんてならない!!だって、私は帝さんの事が……っ」
--するとその時、突然の荒風にシャッター音がガタガタと鳴り響いた。
そしてトランクの中に敷き詰められていた札束も、その風の強さに耐えきれず、一枚一枚宙に舞ってしまう。
「……な、何だ!?」
瑛斗は慌ててトランクを押さえつけながら背後を振り返る。ずっと額を抑えて黙り込んでいた皇帝も、そのまま何も言わずに振り返った。
そして風に乗せられてあの色気のあるムスクの香りが鼻を抜けた瞬間、私たちの目の前に月夜に照らされたあの美しき人物が舞い降りる。
するとその姿を見るなり、あの皇帝が明らかに動揺を隠せない様子で目を大きく見開いた。