この暴君、恋すると手に負えません
一方、報道陣たちはスクリーンに映し出されたライブ映像に歓声をあげていた。
「あれだけ騒ぎを起こしておいて、本当無茶苦茶だなあの男は!!」
「いやでもこれは面白い!!この一連の出来事は視聴率がとれそうだ!!」
呆れ果てるどころか、皆がより一層我先にこの出来事を報道しようと慌ただしく会場を後にしていた。その様子にほっとしていた玲奈様の前に、あの男性記者が歩み寄った。
「……何ですか?」
「神楽坂さん、まだ私は聞かされていない。あなたが仰っていたふたつめの理由を」
「ふふ、今の映像見ても分かりませんか?ふたつめの理由は"本物の婚約者がいるから"に決まってるじゃないですか」
すると男性記者は両腕を肩まで上げて、呆れたように苦笑する。
「……全く、私も長らくこの仕事をしていたがこんなに破天荒な人間は初めてだ」
「彼は愛の暴君ですからね」
「愛の暴君?」
男性記者は不思議そうに首を捻った。
玲奈様はくすくす小さく笑いながら、スクリーンに映る二人を見つめた。
「あの人は恋をすると、誰の手にも負えなくなる人だから」
その会話をステージ裏で見ていた私の視界が一瞬真っ暗になった。