この暴君、恋すると手に負えません
「桐生さんは、帝さんのことが大好きなんですね?」
大好きな帝さんの傍に誰よりも近くにいたかっただけなんだ。
すると桐生さんは驚いたように大きく目を見開いた。そして小さな笑みを洩らしながらこう呟く。
「......嫌いな者に仕える奴など、いるわけがないだろ」
「いや、ここにいますけどね」
なんて、私が冗談気に呟くとまた睨まれてしまった。
「......だが私は感情が先走りすぎて結局帝様にも迷惑をかけてしまった。もう帝様の傍に仕える資格もない」
床に落ちた覆面を拾い上げながら、桐生さんは哀しそうな顔をしていた。私は小さく息を吐き出すとポケットに仕込んでいたものを彼の前に差し出した。