この暴君、恋すると手に負えません



ぼんやり考えていると冷たい夜風が吹き抜けた。火照った体にはその冷たさが心地よい。

すると、暴君は自分が着ていたジャケットを脱ぎ私の肩にそっとかけてくれた。

「あ、大丈夫です。寒くないので....」
「そういう時は普通、ありがとうございますって頬染めるところなんだが」
「すみません、私はそんな乙女ではないので」
「確かにお前は乙女ではないが......」

なんて、本当は少し照れていたりする。
だって私の体を包み込むジャケットには、暴君の温もりとあの色気のあるムスクの香りが残っているからだ。

まるで私を抱き締めているかのような錯覚に陥ってしまう。


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