七色セツナ。1



朱羽の歩みが止まった。


それまで、
優しい眼差しで、花凛を見ていたが
急に、遠くを見るような素振りを見せた。


「あ、ゴメン...朱羽……。

私、分からなかったから
分かりませんって言ったら、
倉沢って名前が出てきたから
朱羽の事なのかなって……」


何か、余計な事を言って、
機嫌を損ねてしまったのではないかと
花凛は焦った。


「花凛……

悪い……

そうじゃねーんだ。

オマエは何もしてないだろ?


そんな気を使うな……」


朱羽の手が伸びてきて、
花凛の頭をゆっくりと撫でる。


後ろで恭弥が


「朱羽!おめーもか!!」


と叫んでいる。


「ごめん……

俺が、ガキなだけなんだ」



< 131 / 318 >

この作品をシェア

pagetop