七色セツナ。1
「怪我してねーよな?」
朱羽が花凛の顔を覗き込む。
「うん。全然」
「・・・ムカつく……」
「え?」
「はぁ……
余裕ねーんだな...俺」
「何?」
「なんでもねェ。
・・・じゃあ、行くぞ」
朱羽は
花凛に手を伸ばし、立ち上がらせる。
朱羽と花凛が歩く後ろで、
恭弥とコタが
まだギャーギャー言い合っていた。
「あ。
そう言えば」
花凛が、隣りを歩く朱羽を見上げた。
「ん?」
「借り物の時にね。
同じ組にいた先輩に、
朱羽の事を聞かれたの。」
「・・・なんて?」
「ああ、うんとね。
よく分からなかったんだけど、
お兄さんいるよねって……」