七色セツナ。1




「俺しか、いらなくなればいい」


「お前……」


コタの驚きを気にもせずに
朱羽は
何本目かの煙草に火を点ける。


「あいつの欲するモノを、
俺の手で全て与えてやりたい。

でも俺は……

それができねェ、小せェ男だからな……」


そう言って燻らせた紫煙は、
ゆっくりと空に向かって昇って行く。


「朱羽の元カノって?」


「いねーよ?

俺も、花凛が初めて...

初めて、興味を持った女。」


コタは一瞬、顔をしかめた。


「朱羽なら、昔からモテただろ?」


「俺に寄って来た女に、
興味を持った事はねーよ。

逆に女なんて、うぜえって思ってた。

女と普通に話すようになったのも、
花凛が初めてだし」


「はー。

花凛は、すげーな?

・・・少なくとも、身近にいる奴
2人が惚れてんだから」



< 170 / 318 >

この作品をシェア

pagetop