七色セツナ。1
「俺しか、いらなくなればいい」
「お前……」
コタの驚きを気にもせずに
朱羽は
何本目かの煙草に火を点ける。
「あいつの欲するモノを、
俺の手で全て与えてやりたい。
でも俺は……
それができねェ、小せェ男だからな……」
そう言って燻らせた紫煙は、
ゆっくりと空に向かって昇って行く。
「朱羽の元カノって?」
「いねーよ?
俺も、花凛が初めて...
初めて、興味を持った女。」
コタは一瞬、顔をしかめた。
「朱羽なら、昔からモテただろ?」
「俺に寄って来た女に、
興味を持った事はねーよ。
逆に女なんて、うぜえって思ってた。
女と普通に話すようになったのも、
花凛が初めてだし」
「はー。
花凛は、すげーな?
・・・少なくとも、身近にいる奴
2人が惚れてんだから」