七色セツナ。1
「なんかさ。
花凛ちゃんの引き出しって、
たくさんあるんだよね」
それまで、朱羽とコタの会話を
黙って聞いていた恭弥が、
嬉しそうに話し出した。
「引き出し?」
「うん。
女とはさ、服の話とか、
美容関係の話とかしてんだけどさ。
男とはさ、
プロレスの話したり、ゲームの話したり
マンガとか小説とかの話をしてる奴もいたし、
ミツヤとは、サッカーの話をしてる。
野球部のマスダと話してた時は
”ボークの判断が難しい”
って言ってたし。」
恭弥は更に、嬉しそうに続けた。
「色んなジャンルの知識があって、
相手の得意なジャンルの話をしてるんだ。
なかなか出来る事じゃない。
もうそれって、才能なんだなって
だから、才能の引き出し。
コタだって
よくゲームとか、プロレスの話とかしてんだろ?」