エンドレスブルー
津田がわたしの脇の下から背中へ自分の腕を滑らせ、ゆっくり体を抱き抱えるようにし、わたしの肩に鼻の先をあてる。


青白い。


そこから見えた肩越しの部屋はやっぱり変わらない。



「……お前ってさ、時々変な事話すよな」


わたしは首のあたりから聞こえてきた言葉に瞬きもしないで聞いた。


ベットの上でさっき座ったところから津田がわたしのほうに移動してきたせいで、少しくらい軋むはずなのに夜の、真ん中でそこはやけに静かだった。


「何考えてたの」


そう言ったのは津田だ。単純に「津田、この部屋って青白いね」そう言えればよかったのかもしれない、けれど津田はすぐ続けた。


何か、お前時々急に黙るから、焦るんだよ。


わたしの目を見るように、でもやっぱり反らしてごまかすみたいに笑った。


4年の間にいろいろあってもわたしと津田の間には多く抱き合う事はあっても恋人同士にはならなかった。


世界で一番好きな人を失った日、津田は会いに来たけどそれからもう4年も時間が経っている。


時間を重ねれば、愛さえ重ねられるとわたしは思っていたのかもしれない。


だからって言っても今更あの人が欲しいわけではないのだ。


涙が出た。


「何か俺にも思ってる事があるんだったら、俺じゃない他の事でもいいから……あれ何言ってんだ、俺、 あれ」


そうやって先に顔を津田は上げたのをわたしは見れなかった。


わたしはあの人が欲しそうな顔を今でもしているのだろうか。


悲しい事はこういう事だと言えたら違ったのだろうか。


涙がどんどん続いて口角のあたりが濡れていく。心がもう傷つかないように、というのはあまりにも惨めだ。



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