Lie × Lie 〜 アルメリア城恋物語 〜
  

    「よし、行け!」



 グレイが命じると、オニクスは弾丸のようにとびだし
 五つの障害を難なくこなし、ものすごい速さで戻ってきて、
 グレイに” よくやった” と首筋を撫でられて満足そうな顔をしている。


 シルヴィはそれをじっと見ていたが、オニクスが走りだしたところへ、
 ゆったりとした足どりで歩いていくと、ふりかえってミュアを見つめた。


   
    「シルヴィもやりたいの?」
    「そうらしいな」
    「オーケー、 シルヴィ、GO !」



 ミュアが命じるとシルヴィはオニクスに負けない速さで飛びだし、
 なんなく障害物をこなしかえってきて、ねだるようにミュアのドレスに
 身体を擦りつける。

 ミュアが、シルヴィが満足するように首の下をいっぱい撫でていると、
 それまでそっぽを向いていたオニクスが、甘えるようにグレイの指を
 舐めはじめ、ミュアとグレイは顔を見合わせた。


   
    「どうやら張りあってるみたいだ」
    「昔のことを引きずっているのかしら」
    「そうかもな」





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